辞書・語学
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この Appli は iPhone、iPad の両方に対応しています。
カテゴリ: 辞書/辞典/その他
リリース: 2011/07/12
サイズ : MB
©2011 Shogakukan Inc.
関山健治(沖縄大学)
冊子版の『ランダムハウス英和大辞典』が改訂され、現行の第2版が刊行されたのは、私が学部4年だった1993年の秋と記憶しています。大学院進学が決まった「記念」として、清水の舞台から飛び降りる覚悟で1万数千円の「マイ大辞典」を購入したときの気持ちを今でも覚えています。電子辞書が普及していなかった当時、重厚な大辞典は私にとってあこがれの存在で、何となく大人になったような気がしたものです。
21世紀になり、ランダムハウス英和大辞典も電子辞書に搭載されるようになりましたが、今回、初めてiPhoneとiPadで使えるアプリとして登場しました。私がとても驚いたのは、大辞典クラスの辞書アプリの多くが冊子版辞書と同じぐらいの価格設定をしているなか、ランダムは冊子版の半分以下であるということです。20年前は雲の上の存在だったランダムが、大学生の小遣いでも購入できる価格で、しかもどこへでも持ち歩けるようになったことで、より多くの英語学習者が大辞典にアクセスできるようになりました。
もっとも、オンライン辞書の中には、数百万語の辞書を無料で検索できるサイトやアプリもありますので、大辞典とはいえこの値段では敷居が高い!と感じる人がいるかもしれません。ここでは、iOS版のランダムハウス英和大辞典を、アプリの操作性と搭載辞書の内容について簡単にレビューしたいと思います。
●アプリの操作性
辞書アプリといっても、メーカーによって操作性は千差万別です。iOS版ランダムハウス英和大辞典は、コンテンツの提供元である小学館がアプリも販売、サポートしていますので、コンテンツの特性をフルに活かした仕様になっています。たとえば、多品詞語などは必要な語義を探すのが一苦労ですが、ランダムハウス英和大辞典では、語義の冒頭に品詞ごとのジャンプインデックスがありますので、求める語義に素早くアクセスすることができます。紙の大英和で、記述量の多い見出し語をさまよった経験のある人なら、紙よりも一覧性の低いiPhoneの画面で、冊子版と同等以上の速さで検索できることに驚くかもしれません。
図版や音声データを始め、コンテンツのすべてのデータがローカルにインストールされるというのも大きなポイントです。iPhoneは、ネット接続を前提とした端末ですから、音声や図版といった容量の多い情報はネットにアクセスして表示、再生するアプリも少なからずあります。一方、ランダムハウス英和大辞典では、アプリのサイズは大きくなりますが、すべての情報が端末の中にインストールされるので、一旦ダウンロードしてしまえば、ネットにつないでいなくても発音や図版にアクセスすることができます。航空機内など、ネットの使えない環境でも検索できるだけでなく、ネット上のデータにアクセスするよりも高速であるというメリットもあります。
ランダムハウス英和大辞典は、IC電子辞書(専用機)への搭載実績があるため、単に冊子辞書のデータをそのまま移植するのではなく、IC辞書向けの付加的なデータも追加されています。カタカナ発音からの検索もその一つですが、たとえば「ユビキタス」と入れるだけでubiquitousがヒットするなど、ちょっとしたカタカナ語辞典のかわりにもなります。その他にも、成句検索や例文検索など、IC電子辞書ではおなじみの検索機能も搭載されています。
●搭載辞書の内容
iOS版のランダムハウス英和大辞典は、前述のように、冊子辞書の大辞典を底本にしています。冊子版には200名近い編集委員、執筆者、専門語校閲者の氏名が掲載されていますが、実際に執筆、校閲、編集にたずさわった人が公表されているという、冊子版大辞典ならではの信頼性と安心感は、そのままiOS版にも引き継がれています(iOS版では執筆者等の氏名が出ていないのが残念ですが)。
オンライン辞書の中には、不特定多数の情報提供者がボランティアで集めた情報をそのまま載せ、収録語数の多さを売り物にしているものもあります。ランダムハウス英和大辞典よりもはるかに収録語数の多い、このような辞書が無料で検索できる現在では、冊子版にくらべれば破格値ではあっても、高いと感じる人もいるかもしれません。しかし、たとえて言うなら、このような辞書は、産地不明の格安な食材を食べるようなもので、情報の信頼性に不安を感じることもあります。
一方、ランダムハウス英和大辞典は、プロの英語学者、辞書編集者が何年も時間をかけて膨大な情報を取捨選択して作り上げた「手作りの辞書」と言えます。ネットの普及で、多くの情報が無料で手に入る今だからこそ、有料の情報への信頼感、安心感は増しているように思います。アプリの価格=情報料、安心料と考えれば、大辞典が1万円以下で買えるというのは大バーゲンといっても過言ではありません。









